CUSTOMER HARASSMENT · PRACTICAL GUIDE

カスハラ対応マニュアルの作り方
基本方針・対応フロー・記録票のひな形

現場で迷わないために、誰が・いつ・どう動くかを決める。
4つのひな形とAIプロンプトで、自社の対応ルールを整えましょう。

企業・店舗の責任者向け執筆:ムリカモ編集部公開日:2026年10月23日制度確認日:2026年10月22日
目次から探す

カスハラ対応マニュアルには、問題となる言動の例だけでなく、誰が判断し、いつ担当を交代し、従業員をどう守るかまで定めます。現場が困ったときに連絡できる窓口と、責任者が不在の場合の引き継ぎ先も必要です。

同時に、正当なクレームや不具合の報告を受け付ける仕組みを残しましょう。「補償できない」「対応を中断する」という判断と、報告された問題を調査するかどうかは、分けて管理する必要があります。

この記事では、企業・店舗の責任者に向けて、次の2つを紹介します。

  • マニュアルの作り方(5つのステップ)
  • 社内で編集して使える4つのひな形(基本方針、現場の対応フロー、判断権限・引き継ぎ先の一覧、対応記録票)

ひな形は本記事の実務上の提案であり、公的な様式や、法令への適合を保証する様式ではありません。業種ごとのサービス提供義務や契約条件を含め、自社の運用に合わせて調整してください。

カスハラの定義や具体例、正当なクレームとの違いは、カスハラの意味・具体例と正当なクレームとの違いで解説しています。

START HERE

ひな形の選び方と使い方|目的から選ぶ

初めて整備する場合は①方針 → ②対応フロー → ③権限・引き継ぎ → ④記録票の順で使います。

  • 4種類を組み合わせると:方針で示した姿勢を、現場の動き・判断する人・記録と引き継ぎまで一続きにできます。補償・不具合調査・言動評価の担当も分けて書き込めます。
  • 既存の社内文書がある場合:方針や対応手順など、足りないひな形だけを使えます。既存の文書と担当者・連絡先が食い違わないか確認してください。

ひな形の使い方|コピーしてから運用するまで

  1. 目的に合うひな形をコピーする。 Word・Googleドキュメント・社内Wikiなど、社内で更新できる文書へ貼り付けます。
  2. 自社の情報に置き換える。 会社名、担当する役職、相談先、代行者、判断できる範囲を記入します。不明な項目は「要決定」と残します。
  3. 関係者と確認する。 記載した担当者が実際に対応できるか、既存の規程・契約・適用される制度と食い違わないかを確認します。
  4. 現場で試す。 責任者不在、未回答の質問、危険がある場面を想定し、連絡・交代・記録まで通して確認します。
  5. 共有して使い始める。 必要な未決定事項を解消し、責任者・版番号・適用日を記載。従業員が勤務中に見られる場所に置き、見直し担当も決めます。

手順2で迷ったら:作り方の5ステップの1〜3(困りごとの収集、論点の分離、判断権限と代行者の決定)を先に行います。

ひな形だけでは足りないこと:ひな形を整えるだけで、事業主に求められる措置が全て済むわけではありません(対策の義務と、マニュアルの役割)。

AIで文章を自社向けに調整したい場合:入力シートと作成・点検用プロンプトを使えます。担当者や権限などの未定事項は、AIに決めさせず責任者が確認します。

01 / GUIDE

カスハラ対応マニュアルに必要な項目

最初に次の項目を決めると、現場の対応と事後の支援をつなげやすくなります。

項目決めておく内容
基本方針従業員の安全確保と、正当な意見を受け付ける姿勢
判断基準要求内容、言動、経緯、業務への影響の確認方法
初動安全確保、事実確認、応援要請の手順
判断権限担当交代、補償、不具合調査、対応中断の決定者
相談・引き継ぎ先通常時と責任者不在時の窓口、委託元への連絡方法
記録と情報管理記録項目、保存先、閲覧権限、保存期間
従業員への支援交代、休憩、相談、必要な就業上の配慮
見直し未回答事項、再発原因、マニュアルの改善方法

対策の義務と、マニュアルの役割

2026年10月1日から、労働者を雇用する全ての事業主にカスタマーハラスメント防止措置が義務付けられています。事業主が講じる措置は次のとおりです。

  • 方針の明確化と周知
  • 相談体制の整備
  • 事後の迅速かつ適切な対応(事実確認、被害者への配慮、再発防止)
  • 特に悪質なものへの対処方針と体制の整備
  • 相談者等のプライバシー保護
  • 相談等を理由とする不利益取扱いの禁止

国の指針は、顧客対応のマニュアルにカスハラの内容と対処の内容を記載して労働者に周知することを、方針の周知の例として挙げています。

マニュアルを作成しただけで、必要な措置を全て実施したことにはなりません。

相談窓口が実際に応答し、責任者が判断でき、被害を受けた人が支援を受けられる状態を整えます。

出典:厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」、厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されました!」、厚生労働省「カスタマーハラスメント防止指針」

02 / GUIDE

ひな形① カスハラ対策の基本方針

こんなときに使う:店内掲示やWeb掲載を始めるとき、従業員への説明をそろえるとき。

使い方:顧客向けと社内向けをそれぞれコピーし、「当社」を会社名等へ変更。顧客向けには問い合わせ先、社内向けには相談先・緊急連絡先を追記します。

できあがるもの:社内で承認された方針文。掲示・掲載だけで終えず、対応フローと一緒に周知します。

基本方針は、顧客向けに公表する方針と、従業員向けの社内方針に分けて作ると、伝える相手ごとに必要な情報を載せられます。以下は文案例です。

顧客向けの方針(公表用)

顧客向けの基本方針

当社は、お客様からのご意見・ご要望を、商品・サービスの改善につながる大切な情報として受け付けます。同時に、従業員が安全に、尊厳を守られて働ける環境を確保します。

暴力、脅迫、人格を否定する言動その他の社会通念上許容される範囲を超える言動に対しては、従業員を一人で対応させず、責任者が組織として対処します。状況に応じて対応方法の変更や中断、警察・専門家への相談を行います。

ご意見の内容と、その伝え方・行動は分けて確認します。対応を中断する場合も、既に受け付けた不具合等の報告は、調査の要否と担当部署を別に判断します。

従業員向けの社内方針

社内向けの基本方針

当社は、カスタマーハラスメントから従業員を守ります。判断に迷う段階でも、一人で抱えずに責任者または相談窓口に連絡してください。

相談を受けた内容は、相談者等のプライバシーを保護して取り扱います。相談したことや事実確認に協力したことを理由に、不利益な取扱いをしません。

この方針は、当社の職場で働く派遣社員や業務委託先のスタッフが顧客等から受けた言動についても、同様に適用します。

顧客向けの方針には顧客向けの連絡先を、社内方針には従業員向けの相談先と緊急連絡先を付けます。従業員の個人連絡先を顧客向けに掲載する必要はありません。

派遣社員と業務委託先のスタッフ等では、指針上の位置付けが異なります。

  • 派遣社員:国の指針で、派遣先にも必要な措置が求められています。
  • 自社の職場で働く業務委託先のスタッフ等:方針の明示や相談対応は、指針の「望ましい取組」として示されています。

両者を一括して任意の取組と扱わず、雇用・契約関係に応じて役割を整理してください。

出典:厚生労働省 カスタマーハラスメント防止指針・2(3)、7

03 / GUIDE

ひな形② 現場の対応フロー

こんなときに使う:強い口調や威圧を受けたときの動きが担当者ごとに異なる、新人研修で対応を練習したいとき。

使い方:7つの手順をコピーし、応援の呼び方、交代する役職、中断の判断者、不在時の動きを記入。安全確保を優先する条件は残します。

できあがるもの:現場で参照する対応手順。誰に連絡するかは③の権限表と合わせて確認します。

以下は社内で調整する基本手順です。危険がある場合は順番を守ることより、安全確保を優先します。

対応フロー
  1. 安全を確保する。 暴力や差し迫った危険がある場合は距離を取り、退避と応援要請を行う。緊急時は110番通報する。危険な場面で説明を続けない。
  2. 事実と質問を確認する。 何が起きたか、何を求められているかを整理する。既に回答した点と、まだ回答していない点を分ける。その場で回答できないことは、確認が必要な事項として伝える。
  3. 責任者へ引き継ぐ。 担当者の権限を超える要求、判断困難な状況、心身への負担がある場合は応援を求める。カスハラと断定できるまで相談を待たない。
  4. 問題となる言動の中止を求める。 安全に伝えられる場合に、やめてほしい行動と、そのままでは対応を続けられないことを具体的に説明する。
  5. 対応方法の変更・中断を判断する。 危険性、言動、経緯、説明済み事項、業務上の義務を確認し、責任者が判断する。緊急時の担当者による退避・中断権限も事前に定める。商品の販売やサービスの提供を断る対応は、法令の制限内で行う必要があり、業法や契約によって取れる対応が異なる。
  6. 記録と従業員の支援を行う。 記録を共有し、交代や休憩、相談などを調整する。本人に同じ説明を何度もさせない。
  7. 未回答の質問と調査事項を引き継ぐ。 連絡方法を変更した場合も、未処理の不具合報告や確認事項の担当者を決める。確認に時間がかかる場合は、次に連絡する予定を定める。

時間・回数の目安と、説明・未回答事項を合わせて判断する

国の指針は、対処の例として、十分な説明を行った上でなお繰り返しの要求が続く場合に、一定の時間の経過をもって退店を求めたり、電話を切ったりすることを挙げています。

社内で時間の目安を決めること自体は、従業員を守る手段になります。

目安を使うときの注意

  • 「30分を超えた」「3回電話があった」という事実だけで、機械的にカスハラと判定しない。企業側の説明不足や、まだ回答していない質問が原因で長引く場合もあるため。
  • 目安を適用する前に、記録票で回答済みの事項と未回答の事項を照合し、「十分な説明を行った」と言える状態かを確認する(本記事の提案)。
  • 未回答事項がある場合でも、その場で対応を続けることを一律に求めるものではない。安全を確保し、必要に応じて対応を中断したうえで、確認を引き継ぐ担当者と連絡方法を定める。

国の指針は、言動の目的、経緯や状況、業種・業態、言動の態様・頻度・継続性などを総合的に考慮する考え方を示しています。

また、対策に当たっては、次の点に留意する必要があるとしています。

  • 消費者の権利
  • 障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止・合理的配慮の提供義務

合理的配慮の申出自体をカスハラと扱うことは適切ではありません。

出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント防止指針」

04 / GUIDE

ひな形③ 判断権限・引き継ぎ先の一覧

こんなときに使う:返金の判断と不具合調査の担当が違う、外注窓口から担当部署へ情報が届かない、責任者が不在になるとき。

使い方:一覧をコピーして、自社にある役職・部署へ置き換えます。通常担当、代行者、社内連絡方法、引き取る担当と次の対応予定の確認方法を追記します。

できあがるもの:通常時・不在時の判断先が分かる一覧。補償・調査・言動への対処は別々に決めます。

次の表は役割分担の例です。同じ人が複数の役割を担う場合も、何を判断する役割かを区別してください。運用前に部署名・担当者・連絡先・不在時の代行者を追記します。

判断権限・引き継ぎ先一覧
場面一次担当者が行うこと判断する役割引き継ぎ後に確認すること
危険がある退避・応援要請・緊急通報現場責任者が事後対応を統括安全確保、負傷等の有無、従業員支援
権限外の補償を求められる要求と根拠を記録する補償の決裁権者判断理由と回答担当者
不具合の指摘を受ける発生日時、操作、表示等を記録する品質・システム等の担当受領、調査要否、確認状況
言動が問題となる具体的な発言・行動と影響を記録する現場責任者、必要に応じ人事・法務交代、中断、支援、再発防止
同じ質問が続く回答済み・未回答を照合する内容を判断できる部署回答漏れ、説明不足、新たな情報
責任者と連絡がつかない代行先へ連絡する指定した代行者誰が案件を引き取ったか
一人勤務・夜間に起きた退避・緊急通報を優先し、掲示した連絡先へ連絡する指定した代行者・本部翌営業日の担当者と引き継ぎ内容

引き継ぎ完了の考え方(本記事の提案)

  • 受領の確認に加えて、引き取る担当者と次の対応予定を確認できた時点で完了とする
  • 自動返信や単なる受信確認だけで完了にしない
  • 受領した部署、担当者、次の確認予定を残す
  • 一次窓口の応対終了と、問い合わせ全体の処理完了を分けて管理する
05 / GUIDE

ひな形④ 問い合わせ・カスハラ対応記録票

こんなときに使う:担当者を交代する、未回答の質問を別部署へ引き継ぐ、同じ不具合やトラブルの再発を確認したいとき。

使い方:記録票をコピーして案件ごとに作成します。安全と休憩を確保したうえで現場がA欄を記入し、責任者・担当部署がB欄に担当・次の予定・判断理由を追記します。

できあがるもの:回答済み・未回答・調査中が分かる案件記録。カスハラと確定していない相談にも使えます。

以下を社内フォーム等へ転記して使えます。顧客の申告、確認できた事実、担当者の評価は分けて記入してください。

現場の担当者の負担を抑えるため、【A】は対応直後に現場で、【B】は責任者・担当部署が記入する形に分けています。

対応記録票
【A 現場で記入】
案件番号:
発生日時・場所/窓口(対面・電話・メール等):
対応者・同席者:
顧客を識別するために必要な最小限の情報:
顧客が申告した出来事:
顧客が求めていること・質問(項目ごと):
回答した内容と日時(質問と対応させる):
まだ回答できていない質問:
問題となった具体的な言葉・行動:
応援要請・交代・退避・緊急通報の有無:
録音・録画・画面保存等の有無:

【B 責任者・担当部署が記入】
資料等で確認できた事実:
補償・特別対応:担当/未確認・確認中・回答済み/判断理由
不具合調査:担当/受領日・受領者/調査要否と理由/次回確認予定
言動の評価:経緯/従業員・業務への影響
中止を求めた言動と伝えた内容:
対応方法の変更・中断の有無、理由、判断者:
未処理事項の引き継ぎ先・受領者:
次の連絡担当・期限・連絡方法:
従業員支援の実施有無(内容は人事等で別に管理):
関連資料の保管先・閲覧権限・保存期限:
再発防止・改善の担当と確認予定:
案件を完了とした日、判断者、未実施事項がある場合の理由:

個人情報と健康情報の扱い

  • 個人情報や心身の状態に関する情報は、必要な範囲で記録・共有する
  • 従業員の健康状態や支援の内容は、顧客対応記録とは別に、人事等の限られた担当者が管理する
  • 顧客対応記録を閲覧できる人全員が、従業員の健康情報まで見られる状態は避ける
06 / GUIDE

作り方は5ステップ|現場で判断できない場面から整理する

1.現場の困りごとと未解決の問い合わせを集める

暴言や威圧を受けた場面だけでなく、担当者に回答権限がなく対応が止まった場面も確認します。窓口担当者、責任者、相談窓口、品質管理やシステム担当などから、対応が行き詰まる条件を集めましょう。

発言や行動、当時の状況、従業員への影響を具体的に記録します。「面倒な客」「クレーマー」といった人物評価だけでは、対応の改善に使えません。

2.補償・不具合調査・言動評価を分ける

同じ問い合わせでも、判断する部署や必要な資料は異なります。

確認する論点確認事項判断する担当の例
補償・特別対応契約条件や事実関係から返金・交換等を行うか店長、顧客対応責任者
不具合調査何が起きたか、再現できるか、他にも影響があるか品質管理、システム担当、企画担当
顧客の言動どの言動が問題か、安全や就業環境にどう影響したか現場責任者、人事、法務等

補償を行わない場合でも、不具合の報告がなくなるわけではありません。また、不具合が確認された場合でも、暴力や脅迫を受け入れる必要はありません。各論点の担当者と確認状況を別々に記録します。

国の指針も、再発防止の措置として、カスハラの原因や背景となった商品・サービス・接客等の問題が把握された場合には、その問題自体の改善を図ることを挙げています。

3.判断権限と代行者を決める

「困ったら上司に相談」だけでは、上司が不在のときに対応が止まります。担当交代、対応中断、例外対応を誰が決めるかを具体化します。

一次担当者に、カスハラに当たるかどうかの判断や補償の可否を背負わせないことが大切です。

一次担当者が自分の判断で行ってよいこと(退避、応援要請、緊急通報、その場での対応の一時中断など)は、あらかじめマニュアルに書いておきます。

一人勤務の時間帯がある店舗では、責任者・本部・代行者の連絡先を、勤務中の従業員がすぐ見られる場所に掲示します。

外部のコールセンターへ委託する場合も、委託先から報告を受ける部署と、受領後に回答する責任者を定めます。委託先がマニュアルを守ったかに加え、マニュアルでは回答できない問題が、判断できる部署に届いたかを確認してください。

4.手順と記録票を用意する

緊急時に読む短い対応手順と、責任者向けの詳しい判断基準を分けて用意すると使いやすくなります。前掲のひな形を基に、連絡先や担当部署を具体化してください。

5.研修で試し、運用後に修正する

暴言がある場面に加え、「質問が未回答で顧客が聞き直している場面」も練習します。応援要請から交代まで実際にできるか、引き継ぎ先が記録を読めるか、調査結果を誰が連絡するかを確認しましょう。

07 / GUIDE

AIを使ったカスハラ対応マニュアルの作り方【プロンプト例付き】

この記事の4種類のひな形に、自社の勤務体制や判断権限を加えると、AIを使って社内用の初稿を作れます。AIには文章の整理を任せ、担当者・権限・運用ルールの決定は責任者が行います。

進め方は次の順です。

  1. 入力シートを記入する
  2. ひな形と一緒にAIへ渡す
  3. 点検用プロンプトで抜けを探す
  4. 責任者が確認する

以下は本記事が提案する使い方で、特定のAIサービスによる精度や法令適合を保証するものではありません。

AIに渡す自社情報の入力シート

分からない項目は「未定」と記入してください。実在しない部署や連絡先をAIに補わせず、社内で決めるべき事項として残します。

自社情報の入力シート
【自社情報】
業種・提供する商品やサービス:
所在地・事業を行う地域:
店舗数・従業員数・勤務中の人数:
問い合わせ窓口(対面/電話/メール等):
一人勤務・夜間営業の有無:
派遣社員・業務委託先の有無と役割:

【権限と連絡体制】
通常の責任者(役職で記入):
不在時の代行者・連絡できない場合の引き継ぎ先:
従業員の相談先・責任者自身が当事者の場合の相談先:
一次担当者が自分で行える対応(退避・交代要請等):
補償・返金・例外対応の決定者と既存ルール:
不具合の確認・調査を行う担当:
顧客の言動への対処、対応中断等の決定者:
引き継ぎの受領方法・担当確定方法・次回連絡の決め方:

【資料・記録・支援】
既存の利用規約・返品規程・対応ルールの該当部分:
匿名化した代表的な問い合わせと、回答できずに困った点:
記録の保管先・閲覧できる役割・保存期間:
従業員への支援と健康情報の管理担当:
参照する公式資料(資料名・発行主体・確認日・該当本文):
未定事項:

入力前に確認すること

  • 自社が利用を認めたAI環境と、情報の取扱ルールを確認する
  • 顧客の氏名、電話番号、注文番号、従業員の健康情報などは貼り付けず、役職名や架空の番号に置き換える
  • 日時・店舗・出来事の組合せから個人が分かる情報や、不要な社内機密も削る

実際の緊急連絡先は、AIで作成した後に社内で記入できます。

作成用プロンプト|4種類のひな形を自社用に調整する

以下の指示文に、記入した入力シートと本記事のひな形①〜④を貼り付けて使います。公式資料はURLだけでなく、確認した該当本文も添えると、参照できた範囲を明確にできます。

作成用プロンプト
以下の自社情報・ひな形・参照資料を使って、カスハラ対応マニュアルの社内検討用初稿を作成してください。
目的は、従業員の安全を確保しながら、正当なクレームや不具合報告を受け付けることです。

【作成条件】
1. 入力された事実、既存の社内ルール、新たな運用提案、未確認事項を区別してください。
2. 部署・役職・連絡先・決裁権限・対応期限・補償額・保存期間を創作しないでください。不明な欄は「要決定」とし、決定が必要な理由を別表にしてください。提案する場合は「提案・未承認」と明示してください。
3. 補償の可否、不具合の調査、顧客の言動の評価を別々に管理してください。補償不可や対応中断だけで、不具合報告まで処理済みにしないでください。
4. 未回答の質問の聞き直しを、機械的に不当な要求の繰り返しと判定しないでください。時間・回数だけの判定も避け、経緯・説明内容・言動・影響を整理してください。
5. 全問への回答完了を、退避・対応中断の条件にしないでください。安全確保と、未回答事項の調査・回答の引き継ぎを両立させてください。
6. 一人勤務、責任者不在、代行者と連絡がつかない場合を扱ってください。未定の連絡体制は未定のまま示し、一次担当者に判断責任を集中させないでください。
7. 引き継ぎでは、受領だけでなく、引き取る担当と次の対応予定を確認してください。自動返信だけで完了としないでください。
8. 法令・条例・義務・努力義務・推奨事項は、提供された公式資料の該当箇所に基づいて記載してください。確認できない条文、施行日、URLを創作しないでください。資料を参照できない場合は、その旨と確認が必要な箇所を示してください。
9. 派遣社員と委託先スタッフの法的位置付けを一括りにしないでください。個別行為が違法・カスハラに該当するという断定や、法令適合の保証はしないでください。
10. 顧客対応記録と従業員の健康情報を分け、記録は必要な範囲に絞ってください。個人情報が含まれる場合は出力へ転記せず、匿名化を求めてください。

【出力】
①基本方針:顧客向けと社内向けを分ける
②現場の対応フロー:通常時・緊急時・責任者不在時を示す
③判断権限・引き継ぎ先一覧:補償・調査・言動への対処を分ける
④対応記録票:現場記入欄と責任者記入欄を分ける
⑤導入前に決める事項:項目/未定の内容/決定が必要な理由
⑥根拠一覧:制度上の記述/参照資料と箇所/確認済みか未確認か

まず不足情報を一覧にし、その後、分かる範囲で初稿を作ってください。

【自社情報】
ここに入力シートを貼り付ける

【使用するひな形】
ここに本記事のひな形①〜④を貼り付ける

【参照資料】
ここに確認した公式資料の情報と該当本文を貼り付ける

点検用プロンプト|運用の抜けと根拠のない記述を確認する

初稿を作った後は、以下の指示文で点検します。作成時の自社情報と参照資料も渡してください。AIによる再点検で問題が見つからなくても、正確性が保証されたことにはなりません。

点検用プロンプト
以下のカスハラ対応マニュアル初稿を、自社情報と参照資料に照らして点検してください。文体の好みより、運用上の欠落、事実の創作、安全確保と適切な受付の両立を優先してください。

【点検項目】
・①基本方針、②対応フロー、③権限表、④記録票の間で、担当や手順が矛盾していないか。
・入力にない部署、権限、連絡先、期限、金額、保存期間を確定事項として追加していないか。
・補償不可を理由に不具合調査も終了する設計になっていないか。
・未回答の質問を聞き直しただけでカスハラ扱いしていないか。
・未回答事項があると退避・中断できない設計になっていないか。
・一人勤務や責任者不在時に、連絡不能や権限不足で止まらないか。
・引き継ぎ後の担当と次の対応予定が不明なまま、完了としていないか。
・相談先、従業員への支援、プライバシー保護、不利益取扱いを防ぐ方針があるか。
・派遣社員と委託先スタッフの扱い、消費者の権利、必要な配慮について、提供された公式資料との食い違いがないか。
・法律上の義務と社内の提案を混同していないか。制度の根拠は実際に参照できた資料にあるか。

【出力形式】
1. 導入を妨げる未決定事項と、修正が必要な点を先に示す。
2. 「該当箇所/問題/根拠または運用上の理由/修正案/人が確認する事項」の表を作る。
3. 根拠を確認できない事項は「未確認」とし、推測で法令名・条文・URLを補わない。
4. 指摘がなければ無理に作らず、点検できた範囲と点検できなかった範囲を示す。
5. 次の3場面を机上で確認し、最初の行動・判断者・記録・未決定事項を示す。
   A:不具合について質問しているが、返金不可との説明しか受けていない。
   B:未回答事項がある最中に、暴力や脅迫が起きた。
   C:一人勤務中で責任者に連絡がつかない。
6. 「法令適合」「安全」「導入可能」を保証しない。

【点検する初稿】
ここに初稿を貼り付ける

【自社情報と既存ルール】
ここに作成時と同じ入力シートを貼り付ける

【参照資料】
ここに確認した公式資料の情報と該当本文を貼り付ける

架空店舗での使用例|決まっていないルールを見える化する

以下は、架空の雑貨店「A店」を使った説明用の例です。実際の店舗・顧客の事例や、特定のAIサービスでの実行結果ではありません。

入力例(抜粋)

架空店舗の入力例
業種・地域:東京都内の雑貨小売店、1店舗
従業員:店長1人・スタッフ4人。閉店前は1人勤務の日がある
窓口:対面・電話・メール
派遣・業務委託:なし
通常の責任者:店長
不在時の代行者:オーナー。ただし連絡不能時の手順は未定
補償:返金の決定者は店長。例外対応の基準は未定
不具合調査:店長が申告内容を整理して仕入先へ確認する
言動への対処:店長。不在時はオーナーへ連絡する
緊急時:スタッフ自身による退避・緊急通報を認める
記録:店長・オーナーが閲覧する社内台帳。保存期間は未定
支援:店長が交代・休憩を調整する。健康情報はオーナーが別管理
困っていること:商品の動作不良を質問されても、スタッフは返品規程しか説明できず、確認先を案内できないことがある

この入力から作る初稿の例(抜粋)

ひな形自社向けに具体化する内容未決定のまま残す内容
①基本方針商品への意見を受け付け、店長・オーナーが従業員を支える店長・オーナー双方が相談の当事者の場合の窓口
②対応フロー動作不良の申告を記録し、店長へ調査を依頼。危険時はスタッフが退避・通報する両者と連絡がつかない場合の非緊急時の対応方法
③権限表返金は店長、不具合は店長から仕入先へ確認。言動への対処は店長、不在時はオーナー例外対応の基準、次回連絡の予定の決め方
④記録票返金判断と不具合調査を別欄にし、調査担当と未回答事項を記録保存期間、期限を超えた場合の確認手順

例えば「返品規程上は返金できない」という回答を作っても、動作不良の調査欄は「店長へ確認依頼」として残します。顧客の言動について具体的な情報がなければ、「問題あり」と決めつけません。

点検では「責任者2人とも連絡不能の場合」「例外対応の基準」「記録の保存期間」が要決定として残るべきです。AIが勝手に「翌日までに回答」「30日保存」などと埋めた場合は、入力にないルールとして差し戻します。

導入前に責任者が確認すること

確認する内容確認方法
連絡先・権限は実在するか担当する本人と業務範囲・代行条件を確認する
要決定の欄が放置されていないか導入に必要な項目を決め、決定者と適用日を残す
根拠と制度の説明は合っているかAIが挙げた資料を人が開き、本文・適用範囲・時点を照合する。判断が必要な点は専門家等に確認する
現場で実行できるか未回答の問い合わせ、危険時、一人勤務を想定して手順を試す
従業員を支援できるか相談受付から交代・休憩・事後支援まで担当と方法を確認する

確認後に、責任者、版番号、適用日、見直し時期を記載して従業員へ周知します。AIが作った初稿を置いておくだけでなく、実際の連絡・判断・記録につながるかを確かめて導入してください。

08 / GUIDE

導入後は「問い合わせ件数が減ったか」だけで評価しない

問い合わせが減っても、相談しづらくなっただけかもしれません。次の項目を組み合わせ、従業員保護と適切な受付の両方を確認します。以下は本記事の運用上の提案です。

確認項目見直すポイント
応援・交代までの状況一人で対応を続ける場面が残っていないか
相談後の支援休憩、交代、相談等につながったか
未回答の問い合わせ担当不明や期限超過の案件がないか
引き継ぎ後の受領状況委託元・専門部署で止まっていないか
同種の問い合わせの再発商品、説明、運用に改善すべき点がないか
対応中断の記録判断理由が具体的で、一貫しているか

責任者は「担当者がマニュアルを守ったか」とともに、「マニュアルで答えられない問題が、判断できる部署に届いたか」を確認してください。

09 / GUIDE

よくある質問

小さな店舗でも専用の相談部署が必要ですか?

専用の部署でなくても、相談を受け付け、適切に対応できる体制が必要です。店舗規模に応じて担当者を定める場合も、本人が不在のときの連絡先や、担当者自身が当事者になったときの相談先を用意します。

外注先のマニュアルがあれば、委託元で決めることはありませんか?

委託元でしか判断できない補償や調査、商品・サービスの改善があります。委託先がどの情報を、どの条件で、誰へ渡すかを合意し、受領と回答の担当も定めます。

また、国の指針は、次の取組を「望ましい取組」としています。

  • 対象:自社が雇用する労働者以外(他社に雇用される人や個人事業主等。派遣社員は除く)が、自社の職場で顧客等から受けた言動
  • 内容:同様の方針を示し、相談に適切に対応するよう努めること

派遣社員については、前述のとおり派遣先にも必要な措置が求められています。雇用関係等によって法的責任の整理は異なりますが、業務上の引き継ぎを曖昧にしないことが必要です。

公的なひな形は使えますか?

公的なひな形・マニュアルには、次のものがあります。

東京都のひな形は、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の定義に基づいています。使う場合は、次の点を確認してください。

  • 東京都内・都外を問わず、国の法律・指針と、自社に適用される条例や業種のルールを確認する
  • ひな形にある「対応時間の上限」や「同じ主張の繰り返し」による打ち切りの項目を使う場合は、前述のとおり、回答済み・未回答の事項を整理し、必要な引き継ぎを確認する手順を加える(本記事の提案)

公的な様式を採用する場合も、自社の窓口・判断権限・連絡方法を具体化し、運用と研修まで整える必要があります。

定義や正当なクレームとの違いを確認したい方へ
カスハラの総合ガイドを読む →